ロシアのジョストボペインティングは、モスクワ近郊のジョストボ村に伝わる伝統工芸で、主に黒の下地が多く、透明感のある花や鳥や蝶が鮮やかな色で描かれ、ゴールドの縁取りが入っています。全体の中心の明度や彩度を高くし、中心から離れていくに従って明度を下げていく技法が特徴です。トレーの黒い背景に浮かぶ花々は、長い冬をじっと待つ人々の春への憬れや、生きる喜びまでもが伝わってくるようです。ジョストボのルーツは、18世紀末、中国からヨーロッパを経由して伝わった、紙を圧縮させた「マッシェ」と呼ばれる板状のトレーに黒い漆を塗って、油絵具で絵付けしたものが始まりです。1807年にはジョストボ村で最初のトレーの製作所が作られました。製作所では初期にはマッシェに絵付けをしていましたが、すぐにメタルトレーへと移行しました。
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